● うつ病とは

 うつ病はゆううつ感や無気力な状態が長い期間回復せず、日常生活に支障をきたすようになってしまう病気です。うつ病は気分が落ち込むなどの心の症状だけでなく、
だるさ、不眠、食欲低下、頭痛などの身体の症状もみられます。
  うつ病は誰でもなる可能性があり、決して珍しい病気ではありません。
 厚生労働省が行った最近の研究では、日本人における うつ病の有病率は6.5%と報告されており、 日本人の15人に1人は一生に1度はうつ病にかかる可能性があると考えられます。
 また女性のうつ病の有病率は8.3%で男性の4.2%と比較すると 2倍もうつ病になりやすいといわれています。

 

●うつ病と自殺


 社会問題となっている自殺とうつ病は深い関連があるといわれています。
 自殺既遂者の80〜90%はうつ病をはじめとする 精神障害があるといわれていますが、 そのほとんどは適切な治療を受けることなく自殺に至っています。
 特にうつ病に対しては今では有効な治療法があります。
 うつ病を早期に診断してもらい、 適切な治療に結びつけることが自殺予防の鍵であると WHOや厚生労働省も強調しています。

 

【図1】自殺と精神疾患(15,629件)

(図1)World Health Organization : Preventing Suicide;
A Resource for General Physicians.
WHO/MNH/MBD/00.1,World Health Organization,Geneva,2000.

●自殺の現状

 わが国では自殺が深刻な社会問題となっています。警察庁の統計によると、自殺による志望者は
平成9年23,494人から急増しており、その後は年間自殺者3万人台という深刻な事態が続いています。
 この数は交通事故死亡者数の3倍以上で4倍に迫るほどであり、40〜50歳の働き盛りの世代が約4割を占めています。
 さらに自殺未遂者は少なく見積もっても既遂者の10倍は存在すると推定されています。
 また既遂自殺や未遂自殺が1件生じると、強い絆のあった人の最低5人は深刻な心理的影響を受けると考えられています。
 したがって自殺は死にゆく3万人だけの問題ではなく、わが国でも毎年百数十万人を巻き込む深刻な問題になっているのです。


(図2)警察庁生活安全局地域課:平成14年中における自殺の概要資料
                          警察庁,2003年


(図3)World Health Organization:Figures and facts about Suicide.
World Health Organization,Geneva,1999.

●治療

 うつ病は早い段階に適切な治療を受ければ治る病気です。 しかし放っておくと慢性化しやすく、再発しやすい特徴があります。
 治療の中心は抗うつ薬などの薬の服用となります。 ただし、いくら薬を飲んでも病気のきっかけとなったストレスを 受け続けている状態ではなかなかよくなりません。薬を飲みながら十分な「休養」をとることも必要です。
 また、心の負担になっているような環境の調整も必要です。うつ病を長びかせない為にも、きちんと医師の指示にしたがって 治療を続けることが大切です。
 うつ病を専門に診てくれるのは、精神科、神経科、心療内科、 メンタルクリニックなどで、総合病院、個人のクリニックなど さまざまな医療機関にあります。
 まずはかかりつけの医師に相談することをお勧めします。


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