敏感肌・不安定肌
人間の肌は、10人10色。かならずしも化粧品があなたの肌にピッタリであるとは限りません。自分の肌質をきちんと把握し、肌に合った化粧品やお手入れを心掛けましょう。
●皮脂状態・特徴
<敏感肌>
さまざまな刺激に対して皮膚の感受性が高まった皮脂状態
<不安定肌>
普段は問題のない皮膚だが、体調や季節などの要因で一時的に刺激に対して感受性が高まった皮膚
<敏感肌・不安定肌>
さまざまなトラブルが見られる
  • アレルギー肌・・・・・赤み、かぶれ、湿疹
  • アトピー素因肌・・・・超乾燥、湿疹、かゆみ、ひきつけ
  • 肌あれ過敏肌・・・・・かさつき、ひりつき、かゆみ
  • 思春期のにきび肌・・油っぽくて顔全体にバラバラできる
  • 大人のにきび肌・・・・肌が乾燥しているのににきびができる
☆原因
◎乾燥 ◎性周期
◎紫外線 ◎遺伝的素因
◎栄養バランスのくずれ ◎季節変化
◎精神的なストレスや睡眠不足
☆皮膚生理
角質は生体内の水分蒸散を防ぎ、外界の刺激から皮膚内部を保護するバリア機能を有するが、角層は薄く、少しの刺激でも傷ついてしまいます。生活環境の中には、角層のバリア機能を不完全にする要因がたくさん潜んでいるため、バリア機能が低下することで、皮膚にさまざまなトラブルが起きやすくなるのです。
☆お手入れのポイント
 膚のバリア機能を高めてトラブルを防ぐためには、皮膚状態に合わせてスキンケアが必要。間違ったお手入れは、皮膚をますます過敏にしトラブルを招くので、化粧品の選択や使い方には十分注意します。
色素や防腐剤、アルコールなど、皮膚に刺激やアレルゲンとなるような成分をできる限り排除し、安全性に考慮している敏感肌・不安定肌の化粧品をおすすめします。
※アレルゲン・・・アレルギーの原因となる物質のこと
※湿疹、かぶれ、じんましん、ひどいかゆみ、赤み、にきびなど炎症を起こしているときは、使用を中止する。
⇒アレルギー肌
☆皮膚状態
皮膚は角層のもつバリア機能で、外界のさまざまな刺激から皮膚内部を守っているが、角層を通り抜けてアレルギー物質が侵入してくると、皮膚組織ではすぐにアレルギー物質侵入を伝え、それを排除するための免疫機構がスタートします。アレルギーとは、この反応が過敏に働いて異常を起こしている状態のことをいいます。
他の人にとっては何でもないのに、その人だけがある特定の物質にアレルギーを起こします。体質的なものだけでなく、体調を崩していたり、乾燥などの影響で皮膚のバリア機能が低下していると、健康時なら何でもない物質にアレルギーを起こしてしまうこともあります。
☆アドバイス
トラブルを防ぐには、まずアレルゲンを調べること。接触によるアレルギーの場合は、皮膚に触れた特定の物質だけに反応するので、その人にとってのアレルゲンがわかれば、ある程度トラブルを未然に防ぐことができます。しかしアレルゲンは人によってさまざま、思いもよらないものの場合もあるため、アレルゲンを正確に調べるには皮膚科でパッチテストを受けることをおすすめします。
☆アレルギーが起こるメカニズム
どんな物質でも初めて接触したときに、すぐにアレルギーが起こるわけではありません。皮膚に異物が侵入すると、皮膚組織ではまずその物質と戦うための準備がすすめられ、免疫機構のひとつである「Tリンパ球」に伝達して記憶されます。そしてふたたび(数時間から数日後の間に)同じ物質が侵入してくると「Tリンパ球」が攻撃をはじめ、その結果が赤みやかぶれなどのアレルギー反応となって現れるのです。
※Tリンパ球・・・白血球の一種
⇒アトピー素因肌
☆皮膚状態
アトピー性皮膚炎は強いかゆみのある湿疹がよくなったり悪くなったりを繰り返します。かゆみを我慢できずにかいてしまうことで、バリア機能をさらに低下させ、症状を悪化させてしまうことがあり、悪化すればかゆみはさらにひどくなるという悪循環が、直りにくい原因のひとつになっています。
☆原因
アトピー素因肌とは、アトピー性皮膚炎になりやすい体質の皮膚を指します。アトピー性皮膚炎の原因は長い間アレルギーの一種であると考えられていましたが、最近の研究で、皮膚のバリア機能障害も大きな原因のひとつであることがわかってきました。つまりアトピー素因肌は、体質的にアレルギーを引き起こしやすいばかりでなく、もともと皮膚のバリア機能が低いために刺激を受けやすいのです。また、アトピー体質は遺伝する傾向が強いので、肉親に花粉症やアレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎の人がいる場合は、アトピー素因肌である可能性が高いと思われます。
☆かゆみが起きるメカニズム
真皮に、免疫機構のひとつとしてかゆみ物質(ヒスタミン)を放出するマスト細胞があります。アトピー素因肌の場合、アレルゲンが体内に侵入すると、このマスト細胞が反応してかゆみ物質を放出し、それを末梢神経がキャッチして脳に伝達、すると脳は皮膚の異物を取り除くように身体に指令を出すので、皮膚をかきたくなってしまうのです。
☆ポイント
低刺激のスキンケア化粧品で、汚れを取り除いて皮膚を清潔にしましょう。
角層に水分・油分を補い、バランスを保って乾燥から皮膚を守りましょう。
表皮のターンオーバーの乱れを順調にして、バリア機能を回復させ、アレルゲンの侵入を防ぎましょう。
☆アドバイス
  1. 下着や洋服は柔らかいコットン素材など通気性がよく肌触りのやさしいものがおすすめです。
  2. 「皮膚への刺激となる汚れやアレルゲンを落とす」という意味で入浴は大切なケア。ゴシゴシこするのではなくやさしく洗いましょう。温度はぬるま湯程度が良いでしょう。
  3. アレルゲンとして多いダニは、ほこりの中に多く生息しているのでまめに掃除し、寝具は黒い布をかけて日光に当て、乾燥させ十分たたいてから取り込みます。

洗顔のポイント
1. 洗顔料は泡立てが不十分だと原液が触れて刺激になるので、水と空気を含ませるようによく泡立て、泡で顔を包みこむように優しく洗うことが大切です。ほおなどは手のひら全体でらせんを描くように洗います。
2. 皮脂分泌が盛んで汚れやすいTゾーン(顔、小鼻、あご)は指の腹を使って丁寧に洗います。
3. 目のまわりなどデリケートな部分は優しく洗います。

すすぎのポイント
1. 生え際、目頭、小鼻、鼻の下、あごの下などは、すすぐときに洗顔料が残りやすい部分ですから、すすぎ残しのないよう十分に洗い流します。

ふきとりのポイント
1. ふきとる時は、柔らかいタオルなどで顔を軽くおさえるようにして水分を吸い取ります。

●バランスを整える
<化粧水>
皮膚に失われがちな水分(うるおいを蓄えるための保湿剤)をたっぷり補給します。水分を与えて柔軟にし、次に使用する化粧品のなじみをよくします。

<乳液>
皮膚に油分を中心に(水分・保湿剤を含む)補給し、表面をおおって水分蒸発を防ぎ、うるおいを保ちます。
油分を補うことで皮膚をしなやかにします。


<保湿クリーム>
皮膚にバランスよく、必要な水・油分を補うことで皮膚を柔軟にします。

タイプ 化粧品:ローション状 クレイ ローション状
使用量の目安 1.5ml 6g 1.5ml
目安表示 500円硬貨大
(直径約2.5cm)
マスカット1個
(直径約2.5cm×2)
500円硬貨大
(2.5cm)
使用法 手のひら又はコットンに取り、軽くのばすように皮膚になじませます。 てのひら又はコットンに取り、軽くのばすように皮膚になじませます。 中指又は薬指の指先に取り、皮膚になじませます。

使用上の注意!
*数回に分けて行うと良いでしょう。
*手で使用する場合は、やや少なめに取ります。(乳液の場合)
*皮膚の弱い方は、手での使用をおすすめします。
●環境から守る
皮膚は常に外界にさらされています。外界には紫外線や乾燥、大気汚染など、皮膚に悪影響を及ぼす要因がたくさんあります。朝のお手入れの最後にこれらを使って、外界の悪影響が皮膚に及ぶのを防ぎ、皮膚を守ります。

日中用(美容液・クリーム) 日焼け止め(乳液・クリーム)
タイプ エマルジョン状・クリーム状 エマルジョン状・クリーム状
使用量の目安 エマルジョン・・・0.3ml
クリーム・・・0.3g
エマルジョン・・・0.3ml
クリーム・・・0.3g
目安表示 エマルジョン・・・1円硬貨大
クリーム・・・パール粒1個
エマルジョン・・・1円硬貨大
クリーム・・・パール粒1個
使用法 手のひらまたは中指か薬指の指先に取り、皮膚になじませます。
その後、紫外線から皮膚を守る効果のある下地やファンデーションをつけます。
手のひらまたは中指か薬指の指先に取り、皮膚になじませます。
その後、紫外線から皮膚を守る効果のある下地やファンデーションをつけます。

使用時の留意点
つける時は、パール粒1個分(0.3g)を全体につけた後、日中用アイテム、日焼け止めアイテムのみの場合は再度もう1個分をとり、日焼けしやすい部分に中指と薬指で軽くたたきながら重ねづけします。

ポイントアドバイス
外出時は、なるべく日傘や黒っぽい服を着用し、露出する部分には日焼け止めをつけます。
日焼けしやすい額、鼻筋、頬骨などは丁寧に、また首筋・首の後ろ・耳の後ろ・肩・手足の甲などにも忘れずにつけましょう。
タオル・ハンカチなどでぬぐった場合は、塗りなおします。